建築家・黒川紀章氏により設計された1972年竣工の東京・銀座にある中銀カプセルタワービル。
中銀カプセルタワービルの保存と建て替え・解体に揺れる状況で、こちらは「カプセル1972」というサイト名で2017年から細々と発信してきました。企画・運営は一級建築士のいしまるあきことカメラマンの蔵プロダクションです。いしまるあきこは2013年から1年ほどB棟のカプセルに住み、その後からは自身の事務所や2つのシェアオフィスカプセルの企画・運営。2017年から、「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」(代表:いしまるあきこ、副代表:蔵プロダクション)は、カプセルA606をシェアオフィスとして企画・運営しながら、1972年竣工当時にレストアしてきました。
2020年秋〜年末に中銀カプセルタワービル管理組合法人に大きな動きがあり、2022年3月以降に中銀カプセルタワービルは解体される予定となり、最終的に2022年4月12日より解体工事に入ります。「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」では、現在、解体に向けて自身ができる具体的な「3つの保存」に取り組んでいます。
「3つの保存」は、全戸調査による「記録保存」、オリジナル内装の取り外し・カプセルユニットの譲渡による「オリジナル保存」、使いながら保存していくための「シェア保存」です。
「記録保存」は、2022年4月11日に全140カプセルと全館の調査を終えることで実測作業と撮影は完了しました。まとめ作業はしばらくかかります。
「オリジナル保存」は、2022年4月までに、アスベストの影響を受けない範囲でのオリジナル家具類の取り外しを行いました。続きのアスベストが露出する範囲の内装解体作業は、解体工事中に行います。カプセルA606も夏頃に取り外し予定です。
「保存」のためのクラウドファンディングに挑戦中です。共感してくださる方が多く、1週間で100%達成し、最終的には4,063,000円・270%のご支援を頂きました。
https://readyfor.jp/projects/capsuleA606
見学会については、こちらのページをご覧ください。
A606では、1972年竣工時の機器類(ブラウン管テレビ、オープンリール、AM・FMラジオ、電子計算機、タイプライター、ブラインド、電話、冷蔵庫など)も動くように直しています。オリジナルのユニットバスも良い状態で残っていて、カプセルが生まれた当時を体感できる空間にしています。
代表いしまるは、B棟9階のカプセルを借りて2013年2月から1年ほど住み、2014年からはオフィスとして、途中からシェアオフィスとして2019年2月まで企画・運営・使用してきました。これらの取り組みを評価してくださった当時の保存派オーナーに声をかけられ、2017年2月からA棟6階のA606を借りて、会員制のシェアオフィスとしてスタートしました。2021年5月現在も企画・運営・使用しています。中銀カプセルタワービルについての執筆、マスメディア出演なども多数行ってきました。
2019年2月にA606のオーナーは保存派の個人から「買受け企業」に変わりました。「買い受け企業」がオーナーとなりましたが、以前の契約と弁護士さんのおかげで使用継続できていました。ところが、2020年12月オーナー側弁護士から連絡があり調停に進むことになりました。2021年1月裁判所から書類が送付され、2月に調停がありオーナー側から合意案が出され、3月の調停でこちらの要望ふまえた案を提出し、4月に関係者で話し合いが行われ、5月12日に調停成立しました。
調停の主な内容は下記です。
(1)A606カプセルユニットを譲り受けます。それに伴う内装の事前撤去。
(2)全カプセルの学術的実測調査。
(3)これらに関連したクラウドファンディング実施。主にアスベスト対策とカプセルユニット維持のため
(4)見学会等の実施。
「買い受け企業」について補足します。中銀カプセルタワービルは1972年竣工当時から分譲マンションで全140戸のカプセルにはそれぞれオーナーがいました。2018年に竣工時の売主であった中銀グループが2階の本社機能を含む多数の所有権などを売却し、そこからマンション建て替え円滑法の「敷地売却制度」を利用することで、中銀カプセルタワービルは管理組合として、所有者たちは「買い受け企業」にカプセルを売却して、最終的に土地・建物を含めて売却する方向性で進んでいました。「買い受け企業」としては、建物を解体した上で敷地の売却を当初から計画していました。
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