今回は、ここもコンセントだったというお話し。
「これって何だろう?」と思っていた人も多いかもしれません。中銀カプセルタワービル、カプセルのもとはベッドがあったヘッドボードのあたり。斜めのふたがある収納の並びに時計や照明のスイッチとともに左端にある細長いグレーの何か。
実は、コンセントでした!
中銀カプセルタワービルが竣工した1972年は、ノートパソコンや携帯電話も無く、まだまだ、電化製品を使う機会は少なかったと思います。45年後の2017年には、電源を使うものが多いですから、テーブルの近くにコンセントがあるといいなと考え、スイッチのあたりのふたを開けた際、グレー色のところに配線がされていることで分かりました。
グレーのコンセントがあるカプセルと無いカプセルがありますが、収納が残っているのにグレーのコンセントが無いカプセルは、壁にコンセントが用意されているところのようです。
さて、このコンセントには、「JIMBO 15A-125V 41-1380」と書いてあります。JIMBOは神保電器株式会社のマークです。
何か気になって調べたところ、「日本間用コンセント」と呼ばれるもので、和室などで壁ではなく敷居の一部に上向きにコンセントを付ける時に使われていたようです。プラグを差していない時はふたが閉じているので、ホコリなどが入りにくい工夫がされています。カプセルでは、斜めに付けられているので、ホコリが入らないようこのようなコンセントが選ばれたのではないでしょうか。
カプセルを設計した建築家の黒川紀章さんは、茶室も多く設計されていたそうですが、このあたりのセレクトも何かつながりがあるのかもしれませんね。
カプセルで使われているものは、現在は販売されていませんが、JIMBOの後継機はリンク先のもののようです。
こまやかな工夫もされているカプセルなのでした。
2017.05.13
文:いしまるあきこ
写真:蔵プロダクション+いしまるあきこ
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